2ndフルアルバム「エクスキューズ・スケール」完成記念 ねこぜなおとこ特別インタビュー


■始まりは突然

「5時をお知らせします」

3/6ボーパラ関西にて頒布開始予定のねこぜなおとこ2ndフルアルバム「エクスキューズ・スケール」の始まりである。5時といえば、冬であれば暗くなり始めるころであるが、初めて耳にしたときは「何故時報で始まるんだ?」と笑ってしまった。これまでも「お笑い」と「カワイイ」と「カッコイイ」という異なる要素の融合に成功したねこぜさんだ。そのいつものスタンスが炸裂したのだろう。最初はその程度の感想だった。しかし、2曲、3曲と進む度に、最初に受けた印象はまったく異なるものへと変化する。歌詞が、曲調が、鼓動が「夜」に支配されているのだ。そう、1曲目として収録された時報は「夜」の開始を告げるものであり、曲は1曲進むごとに深夜へと向かう。見返せば、キャッチフレーズ、ジャケット、あらゆるものがコンセプトにそって緻密に計算されていたのだ。

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■プロジェクトは2年前から

ロール:この度は、3/6ボーパラ関西にて頒布開始予定のねこぜなおとこ(以下ねこぜ)2ndフルアルバム「エクスキューズ・スケール」のインタビューということで、ねこぜさんとSkypeさせていただいております。今日はよろしくお願いします。
ねこぜ:よろしくお願いします。
ロール:早速ですが、今回のアルバムの制作期間はどれくらいかかったんですか?
ねこぜ:実は制作期間、長いんですよ。プロジェクト開始から数えると、だいたい2年前からですかね。他の曲とかも出してたんですけれど、その間もこのアルバムのことをずっと意識していました。
ロール:「満を持して」ということですね。
ねこぜ:証拠じゃないですけれど、1.5枚目「涙の流れたそのあとに」にアルバム名の断片が入っているんですよ。コラージュモンタージュって曲なんですけれど、今回のアルバムはその曲を主軸にする予定でした。「言い訳とかしちゃだめだよ、頑張ろうぜ」って曲です。
ロール:勝手な思い込みですけれど、ねこぜさんのスタンスは「きままに、ゆるく」という印象を受けていたので、それだけ時間をかけて作られたということに驚きです。
ねこぜ:アルバムという存在を神格化しているんでしょうね。好きなアルバムはコンセプトがしっかりしているものが多くて……。
ロール:確かに「エクスキューズ・スケール」は、アルバムを通して「一貫性」というか、コンセプトを感じました。

■「エクスキューズ・スケール」というタイトル

ロール:タイトルもコンセプトにかかわっているのでしょうか?
ねこぜ:エクスキューズ・スケール。エクスキューズは「言い訳」って意味なんですけれど……。
ロール:ここで「コラージュモンタージュ」の「言い訳とかしちゃだめだよ、頑張ろうぜ」がつながるんですね。
ねこぜ:その「エクスキューズ」と組み合わせたのが「スケール」。その言葉の意味がすごくおもしろいなと思いまして。価値観とか何進数とか、何進法とか。水垢の跡とか。一つの言葉に色々な意味があるんですよ。おもしろいですよね。それにコンセプトの一つ「言い訳してしまう、逃げてしまう」という言葉「エクスキューズ」を足しました。

■「夜が明けるまで、夜を歌う」

ロール:「夜が明けるまで、夜を歌う」というキャッチの意味は?
ねこぜ:何故、夜なのかというと。これまで自分の好きな曲の共通点って分からなかったんですよね。あるとき、夜行バスで音楽聴いていて気付いたことがあるんですけれど、夜をテーマにしている曲にグッと来ることが多いのかな、と。
ねこぜ:夜が明ける、という言葉は、キャッチコピーの中では「人生」を指しています。
ロール:死ぬまで好きな歌を歌うってことですね。
ねこぜ:実は曲が進む度に1時間ずつ進んでいくんですよ。
ロール:改めて歌詞を確認したくなりました。

■歌詞と曲調とのギャップ

ロール:歌詞を見ていると、衝撃的な展開のものもあるんですけれど、結構暗めの展開だったとしても、あまりネガティブには感じないんですよね。そこらへんの塩梅は、ねこぜさんご本人も意識されていたのでしょうか?
ねこぜ:今回は「暗く終わらないようにしようぜ」と意識して取り組みました。
ロール:曲調が明るくて、でも衝撃的な展開の歌詞(例えば:彼女は笑う、星空の下)があったりして……。そうしたギャップに衝撃を受けるとともに、曲調が明るいので「どんな現実にぶつかっても、前向きに進んでいこうぜ!」というある種のポジティブさというか、エールというか、ねこぜさんの生き方を感じました。
ねこぜ:ありがとうございます。

■物語×ねこぜ ねこぜ×物語

ロール:今回、物語から派生している曲があるじゃないですか
ねこぜ:ゼロマキナという小説を読んで勝手に書いた曲とかありますね。
ロール:物語から入っているからか、これまでのねこぜさんの作風と違う気がしました。
ねこぜ:歌詞が前向きですよね(笑)
ロール:そうなんですよ(笑)
ねこぜ:物語自体がそういう話だからでしょうね。
ロール:しかも、今回はねこぜさんの曲にインスピレーションを受けて、物語を書いた…物語から曲ではなく、曲から物語の逆バージョンも収録されていますよね。
ねこぜ:そうなんです。今回、小冊子も付ける予定だったので、何かおもしろいことができればな、と。そこで、サークル仲間の「和良 ヤマト」さんに声をかけました。
ロール:短い物語なのですが、繊細に描写されていて、コンセプトにも通じる「夜」の空気感がうまく表現されていると思います。
ねこぜ:小説の内容は「暗くならない感じでお願いします」くらいしか言ってないんですけど、アルバムのコンセプトでもある「夜感」に一役買ってくれてるなと思います。

■散りばめられたピース

ねこぜ:そういえば、アルバムのジャケットとか…今見せられるかもしれませんよ。
ロール:是非見せて欲しいです!
ねこぜ:小冊子なんで、こういう感じなんですよ。

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ねこぜ:やきざかなさんというファーストアルバムのイラストを描いてくださった方が今回も担当してくださったのですが、実は楽曲のモチーフが散りばめられています。どれがどの曲のモチーフなのか、ぜひ探してみてください。
ロール:楽曲や歌詞、キャッチだけでなく、小冊子やイメージに至るまで「夜」をちりばめているんですね。気付いた人は自然と「ウォーリーを探せ」状態になって楽しみが増えるギミックじゃないですか。そう考えると、ねこぜさんの楽曲は、しっかり聴いている人と向き合っているというか、聴いている人をどうやって楽しませようっていうサービス精神を感じられますよね。そうした意味でも楽しませていただきました。
ねこぜ:ありがとうございます。
ロール:今回、ねこぜさんのお話を伺い、もう一度「エクスキューズ・スケール」を聴きたくなりました。これまでのねこぜ節を保ちながらも、より深く、進化している14曲。是非とも多くの人に楽しんで欲しいです。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
ねこぜ:こちらこそ、ありがとうございました。クリトリック・リスさんみたいになれるように、これからも頑張りたいですね。
ロール:え?
ねこぜ:クリトリック・リスさん。
ロール:バンド名ですか? 何かすごい名前ですね。
ねこぜ:こういうバンドなんですけれど……。
ロール:どひゃー!

(まだまだ夜は明けそうにない)


「エクスキューズ・スケール」特設サイト

おもちゃ箱のように「おもしろい」が飛び出すアルバム。
しかし、時折見せる表情は、心に刺さる。